ー福井県、おまえもか?
ーそうです、わたしもです。
ーゲンパツ金目教さまが必要なんです。
ーゲンパツ金目は単に逃げ隠れしているんじゃありません。
ー戦略的退避、戦略的露出です。
核燃料サイクル工学研究所、事故が頻発する部署。
そういえばこの核燃料サイクルに就職したA君は今頃どうしているだろう?京都の大学院を修士課程で終えて入社したときには、仕事は見積書を右から左に流すだけだと豪語していた彼だが。JAEA機構職員に対して下請け企業の人数は約三倍。人をあごで使いまわし、見積書を右から左に流してナンボの部署にはふさわしいかもしれないが、下請けを被曝させていじめないように危惧しています。下請けが突き上げているから事故発表がおおいのだろう、たぶん。
事故が起こった後は、管理用語やらリスクコミュニケーションやらを頭に詰め込んだ見栄えと要領のいい担当者がハキハキこたえるので、これなら安心して任せられる、と思ってしまうあたりが既にダマシの境地。こういうリーマンっぽいパリっとしたオジサンがグローボックスの3K仕事をしているわけがない。原子力機構はそのむかし、旧動燃と旧原研にわかれていたが、お政治屋さんは旧動燃、お役所屋さんは旧原研と相場が決まっていた。どんな会社でも社風というものがあるから、行政改革・合併後もそんなにかわっていないのだろう。このオジサンも、記者会見の前には部下や下請けむかって、私に情報を集めろ、とでも檄を飛ばしているに違いない。
ー核のゴミはどうするの?
日本のどこか一か所に最終処分場を作ればよいというのは妄想にすぎない。いままでの核廃棄物総量を考えると、日本にはすでに数か所の最終処分場が必要だろう。電力8社の各地域にそれぞれ最終処分場を作ってもおかしくはないくらいだ。一か所を決めて試験的に運用うんぬんかんぬんするのに七転八倒するだろうが、最終処分場を複数つくると決めた時点で、日本の世論は核の誘惑になびき、あそこがやるならうちもやるという空気に日本中が飲まれ、ゲンパツ金目教に軍配が上がることになる。しかし、そのためには原子力千年王国の未来図が示されねばならない。そのときに、核菩薩の入滅がおこなわれるのである。